健康上において最も重要な臓器は何か?
と問われれば、良識有るお医者さんや識者が挙げるのが肝臓です。
近年は
「腸こそが健康のカギを握る重要な臓器である」
といった情報がよくみられるようになったことから
「いやいや一番重要なのは腸ではないの?」
と思われる方もおられるかもしれませし、また
「やっぱり何と言っても重要なのは脳でしょう」
といった意見をお持ちの人もあられると思います。
確かに腸が大事なのは間違いはありませんし、脳も重要です。
あるいは腸や脳以外の臓器だって当然重要ではあります。
ですがそれでもやはり本当に重要になってくるのは肝臓になります。
ではなぜ肝臓はそれほどまでに重要な臓器なのでしょうか。
代表的なものに絞りご紹介していきます。
■肝臓は体の修復機関
肝臓の持つ代表的な機能と言えば代謝です。
そして代謝とは修復機能のことを指していて、摂取した栄養素を材料にして、体の修復に必要な部品に作り替える作業を行っています。
ですから病気やけがをしてもしばらくすれば体が元通りに修復されるのは、肝機能が正常に作動しているからこそで、肝臓こそがあらゆる不調の改善を担う最重要機関となっています。
■肝臓は人体最大の解毒機関
水にしろ空気にしろ食べ物にしろ、体の中に入ってくる物質には必ず何かしらの毒性物質が含まれています。
ですから何もしなければ体はその毒性物質によってダメージを受け、病気や不具合を引き起こすことに繋がってしまいますが、その毒性物質を解毒し、無害化してくれているのが肝臓です。
溢れるほどの毒性物質に囲まれている現代社会において健康を維持していくためには、肝臓が持つ解毒機能をいかに下げず維持できるかが大きなカギを握っていると言えます。
■肝臓は二番目に大きな免疫機関
人体最大の免疫機関と言えば腸になりますが、二番目に大きな機関が肝臓になります。
「肝臓は人体が持つ免疫の1/3を担っている」と言われていて、腸と併せるとほぼ100%の免疫がこの二つの臓器に集中しています。
そのため肝機能が低下すると免疫力も大幅に低下。
感染症はもとより花粉症などを始めとするアレルギー疾患や、がんなどの発症にもじつは大きく影響しています。
■肝機能が低下すると腸内環境が悪化します
肝臓は腸の上流に位置する臓器です。
そこで毒性物質の解毒処理や脂の分解処理などが行われています。
そして言わばその前処理が適切に行われていればこそ腸内環境も清潔に保つことが出来ますが、解毒処理や脂の分解処理がはかどらなくなると、下流にある腸はその影響を受けて環境が悪化。
汚れが蓄積されるようになり、やがて体全体の不調につながり始めます。
腸内環境というのはじつは肝機能と併せて一つのものであり、それどころかむしろ肝機能の高低によって大きく影響されるものになります。
■肝機能は腎臓や膵臓にも大きく影響しています
肝臓の下流にあるのは腸だけではありません。
腎臓や膵臓も肝臓の下流に位置しています。
そのため肝機能が適正に働いる間は良いのですが、何かしらの理由で機能が低下して前処理が上手くいかなくなり始めると腎臓や膵臓の負担が増加。
それが慢性的に続いてしまうと、腎臓や膵臓の病気に繋がっていきます。
それは糖尿病がある意味良い例で、じつは世界的には「二型の糖尿病は肝機能低下が原因」というのが常識になりつつあり、糖尿病の改善には肝機能のケアに取り組むことが必須とされるようになってきました。(日本の医療業界でも一部では浸透し始めています)
腸内環境だけでなく、腎機能や膵臓の不具合にも決定的な影響を与えているのが肝臓という事になります。
■肝機能低下は検査数値には表れません
肝臓は70%の機能が失われているような状態であっても検査数値には表れないことも多く、そのため異常を発見することが困難な臓器
として知られています。
また神経がないため、痛みや疲れといった危険サインを自らが感じることも出来ない臓器になります。
ですから別名「沈黙の臓器」と呼ばれたりもしています。
そして肝臓は健康の維持増進や慢性的な不調の改善において決定的に影響を与える臓器であるにもかかわらず、その重要性が広く知られていないのは、この「肝機能の低下は検査数値に表れない」ことが原因と考えられています。
それだけに慢性的な不調が続く場合は病院の肝機能数値に関わらず、「自身の肝機能は大きく低下しているだろう」という前提を持つことから始めることが何よりも重要で、それが慢性的な不調の解決を左右する最大の要因になるるであろうことは間違いありません。
「肝心要」という言葉がありますが、その言葉通りまさに肝臓ほど体にとって重要な臓器はないということです。