腸が汚染されるとあらゆる不具合が引き起こされ始めます

ここ10年ほどの間に、腸が健康にとって非常に重要性な器官であることは広く知られるようになりましたが、

  • なぜ腸が健康にとって重要なのか?
  • 腸内環境が悪化するとどのような不具合が起こるようになるのか?

について具体的に理解している人は少ないと思います。

そこで腸が持つ独自の機能や腸内環境が悪化することによって引き起こされる問題について代表的なものをまとめてみます。


■腸内環境が悪化すると免疫力が激減

腸の中で最も重要な機能の内の一つが免疫です。腸には免疫のおよそ2/3の免疫細胞が集まっていると言われており、また腸内に住む約100兆個の菌も免疫に大きく関わっていることが分かっています。

このため腸内環境が悪化し、腸内細菌のバランスが悪玉菌優位になってしまうと免疫力が激減。

もう一つの巨大な免疫機関である肝臓との兼ね合いが上手くいかない場合などは、最悪免疫が殆どなくなってしまう可能性もあり、免疫を適正に維持するためにはまずは腸内環境を整えることが絶対条件になってきます。



■腸内環境が悪化すると感染症に罹りやすくなる

腸内環境が悪化すると免疫力が低下するわけですから、それによって引き起こされる問題の一つが風邪を始めとした感染症です。

もちろん罹りやすくなるだけでなく、 治りにくくもなってしまいます。

免疫がしっかり働いていれば風邪やインフルエンザに罹ることはそうそうありませんしまた治りも早くなりますので、毎年のようにそうした感染症に罹り、なおかつ治りにくい人は腸内環境が悪化している可能性が高いと言えます。


■がんも腸内環境の悪化が原因?

腸内環境の悪化で招いてしまう重篤な病気の代表が「がん」と言えそうです。

大半のがんは免疫力の低下によって引き起こされると考えられるからで、大腸がんはもちろん、大腸とつながりの深い乳房・肺のがんも腸内環境の悪化が大きく関係していることが疑われています。

なお余談ですが、

末期の大腸がんの人の腸内細菌を調べると、善玉菌がただの一匹もおらず悪玉菌だらけだった

という話を聞いたことがあります。

真偽のほどは定かではありませんが、善玉菌とがんの関係性がよく分かるお話ではないかと思います。


■花粉症やアトピーなどにも関係が!?

腸内環境の悪化によって引き起こされている可能性が高いと考えられる不具合は他にもあります。

それがアレルギー性の不具合です。

花粉症やアトピーはもちろん、自己免疫疾患なども腸内環境の悪化が原因ではないかと疑われています。

その理由については改めて別記事で紹介しようと思いますが、いずれにしてもアレルギー全般は腸内環境の悪化が関係している可能性があることを認識いただければと思います。


■腸内細菌が自律神経機能やホルモンのバランスに大きく関係

近年盛んに腸の重要性が指摘されるようになった理由の一つがこちらです。

自律神経機能やホルモンのバランスというのは、神経伝達物質やホルモンの分泌力が適正であればそのバランスがうまく保たれると考えられているのですが、それらの物質を分泌している機関の一つが腸内に生息している善玉菌になります。

そのため善玉菌の数が減少し、悪玉菌の数が増えてしまうと必然的に自律神経機能やホルモンバランスが乱れ始めます。

下痢や便秘に悩まされる人が増えるのと比例して自律神経機能やホルモンのバランスを崩してしまう人が増えているのもこのような理由があるからで、自律神経機能やホルモンのバランスを整えるためには、腸内環境を整えておくことが絶対に欠かせない条件となってきます。


■腸内の善玉菌がビタミンB群作ってくれています

「腸内の善玉菌がビタミンB群を産生している」という事を知っている人はあまり多くないかもしれませんね。

ビタミンB群は食事から摂取するだけでなく、腸内の善玉菌が産生してくれていることもあり、じつは本来なら不足しにくい栄養素になるはずなのですが、近年は腸内環境が悪化している人が多く善玉菌によるB群産生量が大きく減少している可能性が指摘されています。

便秘や下痢がちで、且つ「疲れやすい」「肌荒れしやすい」「急激な眠気が来る」「集中力が続かない」「悪夢をよく見る」といったような方は腸内の善玉菌が激減してB群の産生量が落ちている可能性を疑ってみると良いと思います。


■腸内環境が悪化していると栄養素の吸収効率が激減?

別記事で載せた内視鏡による腸内の様子を写した写真を見ていただければ一目でわかりますが、

腸に汚れがこびりついている人の場合、いくらきちんとした栄養摂取を試みても腸にこびりついた汚れに邪魔されて栄養を吸収できない

可能性があります。

食材に含まれる栄養素の量が年々下がっていることが原因で栄養不足の人が増えているのでは?と指摘される方が多くおられますが、栄養素の適切な吸収が出来ない体になってしまっている人が増えていることも、栄養不足の人が増えている原因ではないかと個人的には考えます。


■腸内環境が悪化していると無駄に栄養素が消費されます

塩素試薬を使い、水道水に含まれる次亜塩素酸をお茶っ葉などで除去する実験を見れば一目瞭然ですが、毒素というのは栄養素によって無害化される場合があります。おかげで体にとっての毒性は消えるかもしれませんが、その分栄養素を無駄に消費してしまうことに繋がり、それが栄養不足を招くことにも繋がってしまいます。

腸内環境が悪化すると先述の栄養吸収効率が下がる可能性が出てくるだけでなく、腸内で発生した毒素の無害化に無駄に栄養素が使われてしまうかもしれない点が非常に厄介だと言えそうです。


■腸内環境が悪化すると心が不安定になっていきます

心を安定させて幸せな気分にさせることで有名なセロトニンは主に脳で働くホルモンになりますが、そのセロトニンを作っているのは腸内の善玉菌になります。従って腸内環境が悪化し、善玉菌の数が減ってしまうとセロトニンの産生量も減少。メンタルに大きな影響を与えてしまいます。

鬱を始めとした精神疾患を患っている方の大半は慢性的な下痢もしくは便秘を患っていると言いますから、腸内環境と精神がいかに深く関わっているかこのことからも理解できるのではないでしょうか。


■他にもたくさんの機能や不具合との関係性がありますが・・・・

今回ご紹介したのは、腸がもつ働きや腸内環境の悪化によって引き起こされる不具合の代表的なものだけになります。ですから他にもまだまだ細かなお話はありますが、まずはこれらのお話を知って頂いて、腸の重要性について理解を深めていただければ良いかなと思います。

何度も読んでいただければ、部位や症状を問わず大半の不具合は腸が関係しているということが見えてくると思います。



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