体内の酸素濃度が低下すると体に様々な不具合が出始めます

以前書いた記事「大気中の酸素濃度が17%以下になると、私たちの生活や身体に大変なことが起こります(後編)」の話の中の身体に起こる問題について、もう少しだけ具体的に説明しようと思います。


まずは簡単なおさらいですが、

酸素は燃焼という現象を起こさせるために必要な気体

になります。


炭に火を起こす際、団扇で扇いだり息を吹きかけたりすると、火は勢いよく燃え始めるのも、酸素が大量に送られているからですよね。


その燃焼という現象は、体内でも起きていますし、なにより生命活動や健康な体の維持には必須の現象。

それがたとえば呼吸が浅いとか、鉄の摂取が足りていない等々の原因によって体内の酸素濃度が低下すると、体内の燃焼効率も大きく低下し、それが健康面においても様々な悪影響を及ぼすようになるというわけです。


では、

体内の酸素濃度が低下するとどのような不具合が身体に表れ始めるのか?

という事が大事だと思うので、特に問題になる6つの症状をご紹介します。


当てはまる方も結構おられると思うので、改善の参考にしてみてください。


1.体温が低下し免疫が下がりやすくなる

体内酸素濃度が低いと、36兆個あると言われる細胞の中の発電機関「ミトコンドリア」でエネルギーが生み出されにくくなります。

人間もエネルギーを作ることによって体温を生み出していますから、エネルギー産生量の低下は体温低下につながります。

体温は1℃下がるだけで免疫力が30%も下がる

と言われていて、じつは体内の酸素濃度が下がるだけで感染症のリスクやがん発生のリスクなどにも大きく影響する可能性が考えられます。

特に近年は新型の感染症が次々に発生しているため、体温を維持して適正な免疫力を保つことの重要度が上がっています。

一度風邪をひいたらなかなか治らない人や、毎年インフルエンザに罹ってしまうような方などは、特に注意したいポイントの一つになります。



2.血糖値や中性脂肪の値が上がりやすくなる!?

ミトコンドリアでエネルギーを作る際、その燃料にしているのが糖と脂質です。

そしてこの二つを燃やすことによってエネルギーが生み出されているわけですから、

体内酸素濃度が低下すると燃焼効率が落ち、糖や脂質が燃えにくくなる

ことが考えられます。

そうなれば当然血糖値や中性脂肪の値は下がりにくくなります。

これらの値を適正に保つための補助的な役割を果たしている内の一つが酸素という訳です。


糖尿病の改善には、実は酸素をたくさん取り込むことが有効な手段なのではないか?

と個人的には推測したりしています。


3.血流が悪くなる

血糖値や中性脂肪値が適正範囲を超えて上昇してしまうと起こり得る不具合が、この「血流悪化」です。

糖も脂質も体にとって必要な栄養素とはいえ、例えば糖の場合、砂糖水から連想できるように糖度が高くなればなるほど砂糖水はドロドロ化していきます。

それは血糖値にも同様の事が言えそうで、

血糖値が高くなればなるほど血がドロドロ化し、結果血流の悪化に繋がる

ことが考えられます。


また中性脂肪も増え過ぎてしまうとそれは栄養ではなくゴミになってしまい、毛細血管を詰まらせたり、血管壁にこびり付いて血管を細くさせ、血流を悪化させる原因になることが考えられます。

4.太りやすくなる

体内酸素濃度が低下し、糖や脂質の燃焼効率が落ちるとその影響から起こりやすくなる不具合の一つが「太りやすくなる」というです。

脂質は言うまでもなく増え過ぎると体を太らせますし、また「糖」も大量に摂取すると不必要な分は中性脂肪(非常食)として体内に蓄えられることが分っています。


「甘いものをたくさん食べると太る」

と言われるのも、この中性脂肪に変換されるメカニズムがあるからです。


反対に、運動すれば身体が痩せていくのも、運動には大量のエネルギーが必要で、そのエネルギー元である糖と脂質が消費されていくからですが、その際に同時に大量に酸素も必要としているわけですから、

「痩せる」あるいは「体形を一定に保つ」ためにはそれ相応の量の酸素が必要

という事が分ります。


5.脳機能が著しく低下する(メンタルにも大きく影響)

体の臓器の中でも特に酸素を必要とする臓器が「脳」です。

脳も日々様々な活動を行うためにエネルギーを必要としていて、だからこそ同時に大量の酸素も必要としています。


しかし、脳内の酸素濃度が必要量確保できていないと、脳は最低限の生命維持活動以外は行わないよう、動きを急停止させていきます。

なぜなら酸素が尽きれば体にあらゆる不具合が起き始め、最悪死に至るからです。

余分な動きをして無駄に酸素を消費させないための、言わば省エネモードのような機能が働くようになっている

というわけです。


ですから、脳の酸素濃度が低下すると

あらゆることに対して「やる気」が起きなくなりますし、酸素も栄養素も最小限の消費で済むよう強制的に眠気を誘って眠りにつかされてしまう

んです。


近年は引きこもりの人やどうしても前向きな気持ちを持ちにくい人が増えていますが、そういう方は大体呼吸が極端に浅いです。

ですからその根本原因の一つにこの体内酸素濃度の低下がある事はほぼ間違いありません。


逆に言えば「脳を整え」「メンタルを整える」には、しっかりと酸素を体に取り込むことが欠かせないということですね。


6.慢性疲労が起きやすくなる

体内酸素濃度が低下するとエネルギー生み出されにくくなるわけですから、その結果疲労が溜まりやすくなったり疲労を感じやすくなったりもします。

「酸素が足りないだけで疲労が蓄積しやすくなることなんてほんとにあるの?」

そう考える方もおられるかもしれませんが、例えば

プロスポーツ選手などは「高圧酸素カプセル」に入ることによって日々の疲労蓄積を防ぎ、回復を早めている

話は大変有名ですね。

またヨガや瞑想などでも呼吸は大変重要視され、疲労回復にも大きく影響がることが言われています。


様々な分野で疲労と呼吸(酸素)の関係性は認められていますから、特に回復しない慢性的な疲労で悩まれている方は、脳疲労の改善も含めて体内酸素濃度や呼吸の重要性に目を向けられてみると良いと思います。


改善のきっかけの一つになることは間違いありません。



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