ハーブは自然のものだから薬のような毒性や副作用がなく安全
と思い込んでおられる方も多いようですが、果たして本当にそうでしょうか？
先日投稿したメディカルハーブについての基本解説という記事内において
「メディカルハーブには多種多様な成分が豊富に含まれていることから極端な作用が起こる可能性は低いと考えられます」
と私自身も書いているように「極端な作用が起こる可能性が低い」とは考えられるものの、「毒性がない」とか「絶対安全です」とは書きませんでした。つまりハーブであっても何かしらのリスクはあるからそのような書き方をしているわけですが、ではそのリスクとは何でしょうか？
■ハーブには必ず毒性物質が含まれています
意外かもしれませんが、じつはハーブを含めどんな植物にも大なり小なり必ず毒性のある物質が含まれているそうです。そのことにより、虫に食べ尽くされないようにするとか、菌やウィルスなどの外敵から身を守っているのだとか。
面白い所では多くの人が普段飲んでいるコーヒー豆にもわずかに毒性物質(カフェインやクロロゲン酸など)が含まれているそうで、その豆が落ちることによってコーヒーの木の周辺の雑草が駆除され、コーヒーの木が栄養分を独り占めでき、すくすくと育っていくのだそうです。
毒を自らの体に宿すということは、動物と違って動くことのできない植物がなんとか生き残っていくために編み出した知恵の一つなのだと思います。
■その毒性の部分こそが健康に良い作用をもたらすこともあります
では毒性物質があるからと言って植物は体に悪いのか？と言えば必ずしもそうでもなく、その毒性こそが人間の健康に良い作用をもたらしている部分もあります。
例えば前述のコーヒー豆に含まれているカフェインやクロロゲン酸は、雑草にとっては除草剤となってしまう毒性物質だということですが、人間にとっては
ーカフェインー
・疲労緩和
・集中力の向上
・むくみ予防
・眠気覚まし
・頭痛の軽減
・運動機能向上
ークロロゲン酸ー
・ダイエット
・抗酸化
・免疫調整
・菌やウィルスの抑制
・肝機能保護
・抗炎症
・脂肪蓄積予防
・糖尿病予防
などの効果があることが確認されています。
毒でも体に良い部分もあるというのは何だか不思議な話ですね。
■摂り過ぎると体にとって悪影響が出てくることも・・・・
とは言え毒は毒ですから、とうぜん摂り過ぎるとやはり人間の体にも悪影響が出てきます。コーヒーに含まれる成分は毒性が驚嘆に少ないため、それが良い影響を及ぼすことはあっても悪影響が出ることは殆どありませんが、例えば漢方で有名なトリカブトなどは摂取量を誤るとあっという間に死に至ってしまうことは誰もが知るところです。
また田舎に行くと普段の食生活でもよく見かける山菜ワラビでさえも、普通に食べる分には健康に良いとされていますが、食べ過ぎるとこれまた含まれている毒性成分によって全身の粘膜が出血を起こし、細工の場合死に至る危険性も出てくると言われています。
ハーブの種類によってその毒性の強さや摂取できる適量は大きく変わってきますし、引き起こされる症状もピンキリにはなりますが、いずれにしてもハーブだから安全だというわけではなく、どのような食べ物であっても何かしらリスクは必ず付きまとうものであることだけは覚えておくと良いと思います。
■ハーブサプリは特に要注意！！
特にハーブはサプリメントで摂取する場合が要注意で、アメリカではダイエット系ハーブサプリで毎年のように１～２人亡くなられています。ダイエット系ハーブの大半が肝機能を低下させるものであることが恐らく関係していると思いますが、こうした流行り物は誰もが深く考えずに飛びついてしまいやすいので怖いですね。
日本においても「更年期障害やバストアップに良い」という触れ込みで一時期流行ったハーブ「プエラリアミリフィカ」のサプリメントを使用した結果、副作用で出血や生理不順に見舞われてしまった人が多数出たという事例もありました。
サプリメントは成分を凝縮して作られるわけですが、製造方法が杜撰だったり成分配合量が適量を超えてしまっている製品もないとは言えず、そういう製品を選んでしまうと当然の如く副作用の心配が出てきますから、とにかく勢いなどで購入せず、一端立ち止まっからて安全性を重視した選び方・摂取の仕方を心がけていただきたいものです。
もちろん要注意とは言いつつ、例に挙げたような問題のあるサプリもそうそうあるものではないのでよほど運の悪い人でもない限りそのような問題の起こる製品に出会うことは有りませんが、とはいえ万が一のことがあればハーブが引き起こす健康被害は場合によってはほんとに侮れません。神経質になり過ぎない程度に気にかけておくことは必要だと思います。
