些細なことの積み重ねこそが大きな成果を生み出す秘訣なのかもしれませんに思います。

今年は38年ぶりに阪神が見事日本一に輝きましたね。
特に関西が盛り上がった年になりました。
これまでの阪神と言えば接戦になったり重要な試合はいつも負けてしまう勝負弱いチームというイメージ。
良いところまで行くけど最後は勝てないのがお約束のようになっていたはずだったのに、それが今年はそれが一変。
どんなに劣勢な状況であってもどこかで反撃の糸口を見つけ出し、チャンスを確実にものにし、逆転につなげられるような勝負強いチームに変わりました。
そしてリーグ戦ではダントツの強さで優勝し、日本シリーズでも球史に残る接戦をものにしました。
いくら監督が交代したとはいえ、僅か一年という短い期間でもこうも変われるものなんですね。
あまりの変貌に驚かされます。
だけど去年までのチームと今年のチームでは何が違うのでしょうか?
評論家さんや識者さんの話を見聞きしていると、阪神には優れた選手はいてもスーパーだったりスペシャルと言われるレベルの選手はいないと言われています。
だから個人で見てもチーム全体で見ても特筆すべき成績というのは一見しても見当たらず、どこか平凡にすら思えてしまうような数字しか並んでいません。
ところがバッターにも投手にも、突出した数字がひとつ残っています。
それは意外にも四球の数です。
そしてこの四球の数こそが、今期の阪神の強さの秘密だと多くの人は分析しています。
四球というのはバッターを無条件に塁にランナーを出してしまうルールの事で、ヒット一本に相当する価値があるとされているものになりますが、
●打者なら獲得できた四球の数がダントツに多かったことで得点チャンスの回数が格段に上がりましたし、
●投手なら与えた四球の数がダントツに少なかったことで相手に得点を与える機会を確実に減らることが出来ました。
そのことが相手よりも有利な状態を作りやすくし、さらには常に相手にプレッシャーを与え続けることにも繋がり、その結果勝負強く安定した戦いが出来るようになったのではないかというのです。
決してチーム全員がホームランを打ちまくるとか、三振を取りまくるようなピッチャーばかりだったとかいう訳ではなく、四球という非常に地味なルールを重要視したからこその飛躍だったという事です。
素人目線からすれば「そんなことで!?」と思ってしまいますが、こんな些細なことがチームの強さを大きく変えてしまうのですね。
それを裏付けるかのようにひとつ面白い話があります
元ソフトバンクの選手で、ソフトバンクが無敵に近いくらい強かった時代の中心選手だった松田宣浩氏がインタビューで答えられていたことですが、
「ソフトバンクがなぜ毎年のように優勝できたのか」
「勝つチームと負けるチームはどこに差があるのかいうと、それはベンチ内の雰囲気なんです」
「どのチームもどの選手も、より強く・より上手くなろうとして努力するのはプロですから当たり前の事です」
「ですから選手の努力の量や能力だけで他チームと大きな差をつけることはなかなか出来ません」
「しかし勝つチームというのは、仮に自分が試合に出れない控えの選手であっても、試合に出ているレギュラー陣を精一杯応援し、チームが勝つようベンチからでも本気で応援しています」
「つまりチームが本当に一丸となって勝利を目指すんです」
「それが本物の強さを作っていくんです」
「一方で負けるチームにはそれがありません」
「控え選手はプライドや悔しさからレギュラー選手を応援しにくいものなんです」
「だけどそこが長いペナントレースの中で結果として表れてくるんです」
ということでした。
ソフトバンクが強かった理由も、実はこんな些細な所に秘密が隠されていたようです。
しかもこの話にはまだ続きがあって、昨年松田選手は長らく所属されていたソフトバンクを離れて巨人に移籍されました。
松田選手を失ったソフトバンクは、シーズン半ばくらいまではそこそこの成績を残したものの、最終的には優勝にははるか遠く及ばず、またチーム内の雰囲気も非常に悪く、最終的には近年まれにみる不調に陥ってしまいました。
その原因を「松田選手がチームからいなくなり、チームの明るく前向きな雰囲気づくりが出来なくなったからだ」と指摘されている人が多くおられました。
重要だと分りやすい部分は誰でもそれを意識し、適切な努力を行うものですが、重要であるにもかかわらず、その重要性が理解しにくい些細なことには人間誰しもなかなか目が向かないものです。
ですが阪神が変貌した話やソフトバンクが強かった時代の話を紐解いていくと、本当に大事な事はその分りにくく、些細なことの方にこそあるのではないかなと、そのよう