僕は化粧品も取り扱いをしているため、街中に行くと「市場調査」でデパートの化粧品売り場を歩くことがよくあります。
そんな時いつも
「化粧品って売るための経費があり得ないほどかかってるよな」
と思います。
そこで今回は化粧品の製造や販売についての裏側を考察しつつ、賢い化粧品選びについてまとめてみます。
けっこう辛口な内容ですが、知って得する話でもあると思いますので最後まで読んでみてください。
家賃っていくら?
例えばいつも気になるのが売り場の家賃ですね。
デパートのあの小さな一角を借りるだけでも、一体いくらの家賃が毎月かかっているのか?
どう考えても安いはずはないですよね。
●20万~30万くらい?
●あるいは50万とか?
●下手したら場所によっては100万?
なんてことも十分にあり得るかもしれませんね。
それだけの家賃になれば、一件分払うだけでもふつうに考えればめちゃくちゃ大変です。
それが全国のデパートに展開しているわけですから、家賃×出店件数で計算していくと、家賃の総合計って一体いくらになっているのか、想像するだけでも恐ろしい額ではないでしょうか。
人件費は?
加えて各店舗には販売員さんが常時2~3人はいますし、その日休んでいる人の事も考えると、だいたい4~5人くらいで回してるのかな~と推測。
さらには店頭だけではなく本社や各支店にも多くの方が勤務されているはずですから、その方々の給料を払っていくとなると一体いくらくらいになるのか?
一人当たりの平均月給を仮に30万円として、そこに社員人数をかけたらもうとんでもない額になるのでは?
人件費もヤバ過ぎです・・・・。
よく給料出せてるわ(汗)
広告費は?
そして宣伝広告費もこれまたすごい金額になるはずですよね。
最も大きな広告媒体としては
●テレビコマーシャル
●雑誌
の2つになるかと思いますが、テレビの広告費用なんて恐らく月額で数千万(今時億も使ってないとは思いますが)にはなるでしょうし、さらにはイメージガールを務める女優さんやモデルさんに支払う契約料なんかも沢尻エリカクラス(古すぎ?)だと5000万くらいが相場と言われてます。
これだって全部化粧品を販売して得られる利益から支払われることを思うと、ものすごいコストがかかってますね。
でも宣伝をバンバンやらないと売れないのが化粧品会社にとって辛いところですね。
ばかにならない容器代
それから意外に大きな経費が掛かるのが「容器代」です。
やはり化粧品販売に於いて見た目はとっても大事で、化粧品自体の使い心地や色合いだけでなく、「容器デザインの印象」も販売数を大きく左右するため、各社容器のデザインにはかなり力を入れられているのですが、容器を作るためには基本的に「金型」というものが必要になります。
この金型は一台500万円前後が相場(今はもっと上がっているかもしれませんし、単純な構造の物であればもっと安いかも)と言われていますが、例えば容器が複数のパーツからできていれば、金型は3種類・4種類と作られているかもしれません。
加えて金型はある程度プレスを行うと「研磨」といって、定期的な調整に2~3日は出さなければいけなくなるため、金型は同じものを2つ用意しておくのが一般的です。
ですから仮に4種類の金型が必要だと仮定すると、4種類×2セットの計8台の金型が必要になり、さらに一台当たり500万円だとすると、8台×500万円で、金型代だけでも4000万円もかかるということになります。
ここに金型の研磨代「一回につき恐らく20~30万円前後」も別途かかってくるうえ、金型は壊れることも珍しくなく、研磨ではなく修理行うケースも含んでおくと金型維持費もばかにならない金額になってきます。
そしてこれはあくまでも一般的な金型の話であって、特殊な形状の容器の場合は金型代がさらに上がる可能性がありますし、必要な種類の金型も5種類・6種類となる場合もあるのかもしれません。
当然その分さらにコストはかかるわけですから金型代にかかる費用は4000万円どころではないのかもしれません。
それが容器代に含まれてくるわけですから、ますます販売経費にお金がかかって化粧品そのものに原価がかけられなくなってきます。
ほかにも多数の経費が・・・・
他にもブランド料の上乗せがあったり、製品開発に回す費用も含まれていたりすることを考えると、果たして化粧品そのものにかけられる原材料コストっていくらになるのか?
どう考えても
「うーむ」
という感じにしかならないのではないでしょうか。
別にこうした販売の仕方や経費のかけ方を非難しているわけではありませんし、化粧品を製造して販売するというのは概ねそういうものだと思います。
また上記のコストのかけ方はあくまで僕の勝手な推測であって必ずしも正しいものではありませんから、販売にかけるコストはもっと少ないのかもしれません。
とは言え、それなりに的を得た捉え方をしているとも思うので、極端に外れているということもないでしょう。
ただ少なくとも一般的な製造・販売の仕方では、美容成分に原価をかけることが難しいことだけはお分かりいただけたのではないでしょうか。
ぼくはいつもこんなことを考えながら化粧品売り場を見て回っているので、
化粧品の原価ってたぶんとんでもなく低いよな~
とか、
つまり化粧品ってめっちゃ儲かるんだろうな~
と、つい思ってしまうわけです・・・・・。
ああ職業病zzzz。
化粧品の賢い買い方とは!?
さて、ここまで読んでいただいていれば、賢く化粧品を選ぶには「どのような点に気を付ければよいか」もうわかりますよね
そうです。
無駄なコストをかけていない製品を選ぶというのが正解です。
それは上記で挙げた話の真逆を選べば良いわけですから、
●店舗にお金をかけていない
●宣伝広告費をかけていない
●ブランド料の上乗せが無さそう
●ゴージャスな容器を採用していない
といった辺りをチェックすればいいですね。
そういう製品って探せばけっこう出てきますし、一般的な化粧品とくらべて価格も同じくらいか抑えられ気味ながら、原材料にはちゃんと原価がかけられていて、安全性が高いうえに10倍・20倍・30倍というとてつもない量の美容成分が配合されているものもあったりします。
数は少ないけど、本当に抜きんでた品質の製品って中にはあるんですよね。
もちろん好みの問題もあるので、品質が良いからといって気に入られるかどうかはまた別の話になりますが、ブランドや容器デザインなどにこだわりがなければ、化粧品にかけられている原価を考察しながら選んでみていただきたいです。
なぜなら消費者の目が肥えれば肥えるほど「より良い製品」「より良いメーカー」が増えるはずですから。