ステロイド剤投与で筋肉が増強される理由と自然治癒力の関係性

ステロイドと言えば

「痛み」「痒み」を抑える薬

という認識をされている方が殆どだと思います。




しかしスポーツニュースを見ればわかるように、「筋肉増強のための違法なドーピング剤として」ステロイドが使用されることもあり、その使用目的や作用は全く別物と言えるほど違います。



同じステロイドホルモンなのにどうしてこのような違いが生まれるのでしょうか。




じつはステロイドホルモンは、それ単体で痛みや痒みなどの炎症を抑えるという効果があるだけでなく、性ホルモンの原材料(前段階の物質)という役割があります。

そして性ホルモンというのは別名「成長ホルモン」といい、体の修復や成長を促すホルモンになるため、単純に考えればステロイドホルモンがたくさんある方が体が修復されやすくなりますし、筋力も増強されやすいうことです。


ですからステロイドを薬として投与する場合、そのステロイドの種類によって炎症を抑える効果が発揮されるのか、筋肉増強に役立つのか、得られる効果が変わってくるのだと思います。


この辺りの専門的なところまでの知識は僕もありませんが、概ねそのように捉えておけばステロイドの大まかな役割と重要性が理解しやすいと思います。




なおステロイドは副作用が大変心配されるホルモン剤ですが、その理由は主に二つ。




  • 薬として服用したり塗布し続けると、副腎でステロイドを分泌しなくなる
  • 肺・心臓・血管などの調整機能が筋肉増強に追いつかない

というもので、



一つ目の「副腎がステロイドを分泌しなくなる」というのは、飲用にしろ塗布にしろ、薬でステロイドを補給し続けると副腎がステロイドを作ろうとしなくなると言われています。




もともと分泌する機能があるのにそれが働かなくなるわけですから、とうぜん身体全体の調整機能にも影響が出てきます。

これは健康上非常に大きな問題です。




またもう一つの「肺・心臓・血管などが筋肉増強に追いつかない」についても、自転車の世界最高峰レース「ツールドフランス」で起きた事故を例にすればよく分りますが、

ステロイドドーピングによって筋肉だけが増強され、疲れも感じなくさせられた結果、その運動に肺・心臓・血液循環が追い付かず、レース途中で亡くなった

ということが起こっています。



体の中の一部の機能だけを突出して増強させてしまうと、それを支える他の機能に限界を超えた負担を負わせてしまい、死に至ることもある



という最たる例だと思いす。



これらは「最悪」の事例を挙げたものであり、そうそう起こることではありませんが、それでも何の考慮もなく長くステロイドを使用し続けると起こりかねない不具合でもあります。

ですからステロイドの使用については「慎重になるべき」という意見が多く、「できる限り使いたくない」という方もたくさんいらっしゃるわけです。



痛みや痒みを抑えるには大変便利な薬ですから、状況に応じて使用が必要なこともあると思いますが、前述のように体の調整機能を乱す薬でもあるので、使うとしたらこの事をよく理解した上で活用することが望ましいですね。



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