時間が経つのが速いと感じるのは「冒険してみたほうが良いよ」というサインかもしれません

「歳を取ると時が経つのが早く感じるようになる」とはよく言われますが、それにしてもここ数年の時間が過ぎていくスピードの速さといったら尋常ならざるものがあるように感じていまして、だけど周りの人と話していても同じようなことを口にする人はじつはかなり多いですから、どうも私一人だけがそう感じているわけでもなさそうですね。

そんな「時間の感じ方」なのですがこれがなかなかに面白い話がありまして、生物学者・本川達雄さんが書いた『ゾウの時間 ネズミの時間』という本では動物は体の大きさによって「時間の流れ方」が違うという話が出てきます。

これは一時期有名になった話ですから「そういえば聞いたことがある」という方も多いかもしれませんが、たとえばネズミは心拍も呼吸も速く、エネルギーも猛烈な勢いで消費しながら生きています。

ですが一方でゾウは心拍も呼吸もゆっくりでエネルギーを使う速度も遅い。

ということは人間の時計で見ればネズミの一生は短く、ゾウの一生は長いということになるのですが、「心臓が何回動いたか」「エネルギーの消費スピードはどうか」という生命活動を物差しにして見れば、その差は私たちが考えているほど大きくはないようです。

つまり私たちが普段使っている「何年生きた」という時間と、生き物の体の中で流れている時間は同じようには測れないということです。

これが『ゾウの時間 ネズミの時間』というタイトルにつながっているわけです。

そしてこの話を知ると、私たちが最近感じている「時間が経つのが速い」という感覚についても少し違った見方ができるようになります。

人間の場合、時間を速く感じる理由の一つとして「新しい経験が減ること」が関係しているという考え方があります。

子どもの頃は見るものも行く場所も出会う人も知らないことだらけです。

初めて見るものに驚いたり、初めての場所にワクワクしたり、毎日のように何か新しいことが起こる。

だから一日の中にたくさんの出来事があり、たくさんの記憶が残ります。

それが時の流れが遅く感じる理由ではないか?と考えられているということですね。

ところが大人になるとどうしても「いつもの」が増えてきます。

いつもの場所、いつもの仕事、いつもの人、いつもの生活。

新しい経験が少なくなれば記憶に強く残る出来事も少なくなっていきます。

すると同じ時間を過ごしていても残るものの少なさから、その結果として一週間や一年を振り返ったときに「あっという間だった」と感じている可能性が出てくるということです。

つまり大人になり、時間の感覚が早く感じられるようになるのは、年齢そのものよりも子どもの頃に比べて「初めて」が減って、毎日の中に新しく記憶される出来事が少なくなっていることも関係しているのかもしれないということですね。

だとしたら「最近やたらと時間が経つのが早いなあ」と感じるのは、逆に考えれば「そろそろ新しいことをやってみたら?」というサインである可能性かもしれませんから、そういう時は

・行ったことのない場所へ行ってみる

・やったことのないことに挑戦してみる

・今までなら選ばなかったものを選んでみる

・知らない人と話してみる

等々、そんなちょっとした「初めて」を増やしてみるだけでも良いかもしれません。

なにせ大人になると子どもの頃のように新しい出来事が次々と向こうからやってくることは少なくなりますからね。

だからこそ自分から動いて日常の中に変化をつくっていくことはきっと大切なんだと思います。

今はネットで調べたり動画を見たりするだけで、知らない場所や新しいことにいくらでも触れることが出来るようになりました。

ですからそれで満足してしまうと、わざわざ自分で出かけたり何か新しいことをやってみたりする機会は少なくなると思うのですが、でも実際に足を運んだりやったことのないことに挑戦したりすれば、思っていたのと違う発見があったり、予想もしなかった人と話すことになったりもして、それが思いのほか楽しかったりしますし、何よりそういう自分だけの出来事は画面を見ているだけでは生まれませんから、やはりバーチャルではなくリアルで経験するということには何物にも代えがたい価値があるような気がします。

ですから「あまりに時間が経つのが速い」と感じる人は、そんな「初めて」を一つでも良いからもう一度増やしてみることにチャレンジしていけば、おそらく一日の価値も長さの感じ方も変わってくるかなあと思います。

時間の流れが速くなったのではなく、日々の中にある「新たな経験の数」が減っていた。

そう考えると、今からでも自分の時間の過ごし方を変えていけるかもしれませんね。