
発酵と聞くと多くの人は良いイメージを持つのではないでしょうか。
味噌や納豆、ヨーグルトなど、健康に良いものを連想するからです。
では腐敗はどうかと言えば、おそらくほとんどの人が「できれば無いほうが良いもの」と考えるのではないでしょうか。
しかし本当にそうなのかと言えばそこは少し慎重になるべきところもあって、たしかに腐敗という言葉だけを聞くと、臭い、汚い、危険といったイメージが先に出てきますし、日常生活の中ではできるだけ避けたいものとして扱われる現象ではあります。
ただもし自然界から腐敗という現象そのものがなくなってしまったら、落ち葉は落ち葉のまま残り、枯れ木は枯れ木のまま積み重なり、動植物の亡骸も土へ還ることなく、その場に残り続けることになるかもしれません。
そうなると自然界の循環はどこかで止まってしまいます。
なぜなら本来新しい命が生まれるためには古い命が土へ還り、それが栄養となり、さらにはその栄養が次の命へと受け継がれていくことが必要だからです。
つまり私たちが嫌っている腐敗も、自然界全体から見れば命の循環を支えるための大切な役割の一部を担っているということです。
ですから腐敗という現象を一概に「無いほうが良いもの」と言い切ることはできないのですが、じつはこれ腸内細菌にも少し似ています。
というのも私たちはつい
・善玉菌は良い菌
・悪玉菌は悪い菌
という単純な見方をしてしまいます。
ですが実際には悪玉菌も腸内環境を構成する一員であり、ただ邪魔をするだけの存在などではありません。
確かに増えすぎは腸内腐敗や有害物質の発生につながりますが、一方でタンパク質の分解や排泄、あるいは免疫にも関わっていると言われており、何よりどんなに健康な人の腸内にも必ず普通に存在しています。
つまり悪玉菌にも役割があるということであり、じつは無くてはならない存在でもあるということです。
ですから大切なのは「良いか悪いか」で判断することではなく、それぞれがどんな役割を担っているのかを見ることだと思いますし、そうした視点を持つことが本来あるべき正しい認識に繋がっていくようにも思います。
ただ残念ながら世の中に溢れている情報というのはその大半が善悪であったり正しい・間違いという視点から出されたものになり、それで多くの方が間違った認識や価値観を抱くようになってしまっているというのが実情です。
それが大変気になっていたので今月はこのようなお話を書かせていただきました。
二元論的な見方だけで物事を判断してしまうと、本来そこにある役割や意味を見落としてしまうことがありますからね。
「良い」「悪い」という結論だけにとらわれず、全体の中でどのような役割を担っているのかという視点を意識していくことが大切だと思います。