花粉の季節に体がしんどくなる理由 ― 炎症とファイトケミカルの話 ―

花粉の季節になると「目がかゆい」「鼻水が止まらない」といった症状に悩まされる方が増えてきます。

ただ花粉症はそれだけではありません。

炎症が強くなってくると

・体がだるい
・頭がぼーっとする
・微熱があるような感じがする
・やけに疲れる

といった、軽い風邪のような状態になることがあります。

「花粉症ってこんなにしんどかったっけ?」と思われる方も多いのですが、これにはきちんとした理由があります。


花粉症の正体は「体の炎症」

花粉症は、花粉が直接体を壊しているわけではありません。

体の免疫が花粉を「敵」と判断し、それを排除しようとして炎症反応を起こしている状態です。

この時体内ではヒスタミンなどの炎症物質が放出され、粘膜では強い炎症が起こります。

目がかゆくなるのも、鼻水が出るのも、くしゃみが出るのも、すべてこの炎症反応によるものです。

そして炎症は粘膜だけで終わるものではありません。

炎症が強くなると免疫系は多くのエネルギーを消費し、炎症物質が全身に影響を与えるため

・だるさ
・疲労感
・熱っぽさ

といった症状が出やすくなります。

つまり花粉症で体がしんどくなるのは体の中で炎症が起きているためなのです。


■炎症が続くと体の中で起きること

炎症が起こると、体内では同時に活性酸素が多く発生します。

活性酸素は細胞や組織にダメージを与える性質があり、そのダメージがさらに炎症反応を強める原因になります。

つまり体の中では

・炎症が起きる
   ↓
・活性酸素が増える
   ↓
・そのダメージで炎症がさらに強くなる

という悪循環が起きやすくなるのです。

花粉症のだるさや疲労感は、この炎症と酸化の連鎖によって体のエネルギーが消耗していくことも大きな原因の一つと考えられます。

※ちなみに炎症の研究では「NF-κB(エヌエフカッパービー)」という炎症反応を調整する仕組みが知られています。

これは体の中で炎症を起こす指令を出す働きを持つもので、いわば炎症反応のスイッチのような存在です。

そして研究の中では、ポリフェノールやフラボノイドなどのファイトケミカル(植物由来成分)がこの NF-κBという炎症反応のスイッチの働きに関わる可能性があることも報告されています。

つまり「植物に含まれる成分が体の炎症反応の仕組みにも影響するのではないか」という研究が進められているのです。


ファイトケミカルが注目される理由

ファイトケミカルの多くは強い抗酸化作用を持っています。

抗酸化とは、体内で増えすぎた活性酸素を抑える働きのことです。

活性酸素が抑えられれば細胞へのダメージも減り、炎症がさらに強まる流れも起こりにくくなります。

つまりファイトケミカルは

炎症

活性酸素の増加

炎症のさらなる悪化

という流れの中で、活性酸素を抑えることで炎症の広がりを和らげる働きが期待されているのです。


花粉の季節を少し違った視点で見る

花粉の季節に体がしんどくなるのは、単に目や鼻がつらいからではありません。

体の中で炎症が起こり、その炎症によって活性酸素が増え、さらに炎症が強まる。

その反応が続くことで体は思っている以上に消耗していきます。

そしてファイトケミカルが注目されているのは、こうした炎症と酸化の流れに関わる仕組みに影響を与える可能性があるからです。

花粉症のつらさを「目や鼻の症状」としてだけ見るのではなく、体の中で炎症が続いている状態として見ること。

そう考えると、植物に含まれる成分が研究されている理由も少し理解しやすくなるのではないでしょうか。

なお余談ですが、炎症と酸化の関係はアトピーなどの皮膚の炎症でも研究されているテーマでもあり、そのこともファイトケミカルが注目される理由の一つにもなっています。

またこちらは補足的な話になりますが、ファイトケミカルは植物からだけ摂れるとは限りません。

食物連鎖の中で動物に蓄積されることもあり、その代表的な例が鮭です。

鮭の赤い色のもとになっているアスタキサンチンは、もともとは藻類などの植物プランクトンが作る成分です。

それを小さな生き物が食べ、さらにそれを鮭が食べることで、結果として鮭の体内に多く含まれるようになります。

つまり私たちは植物そのものからだけでなく、こうした食物連鎖を通してファイトケミカルを摂っている場合もあることをお伝えしておきます。