心臓と言えば「血液を送り出す臓器」ということは誰もが知っていますが、その具体的な能力や特別な機能がどれほど驚異的なものである知っている人は少ないのではないでしょうか。心臓は寝ている間も関係なく鼓動し続けている臓器ですから、その作業量や負担の大きさ、あるいは心臓だけに見られる特殊な機能などを知るとどなたも驚かられることと思います。
知ったからと言って何か役に立つ話ではありませんが、自身の体を理解しておくことは大事だと思うので少し紹介させてください。
■一日に送り出す血液量は驚愕の8000ℓ(8t)
- 安静時における一回の鼓動で送り出される血液量はわずか70ccと大した量ではありません
- しかし一分間で送り出される量となると5ℓ
- 一時間なら300ℓ弱になり
- 一日に送り出される量ともなると驚愕の8000ℓ
つまりたった一日で心臓が送り出す血液量は8tにものぼります
さらに一年という単位で見ればなんとなんとの2920000ℓ。
トンに直せば2920tもの血液量ということになり、心臓がいかに多くの血液を送り続けてくれているが表されています。
■1日の心拍数は10万回
日本医師会や日本心臓財団などの発表によると、
- 成人の正常な安静時の心拍数は1分間に平均70回
- 1時間でおよそ4200回
- 1日だと約10万回
- 1年間になると4200万回弱もの心拍となり
- 一生ともなれば40億回以上は鼓動を打っている
計算になるそうです。
送り出す血液量もさることながら、心拍数の多さにも驚かされるのではないでしょうか?
計算してみないと中々気付けないことですが、心臓が日々こなしている仕事量の多さというのは想像をはるかに超えたものであることが、鼓動回数からも見えてきます。
■心臓は心筋という種類の筋肉になります
そして心臓にはすごい機能だけでなく、他の臓器には見られない心臓独自の特殊な機能というものも存在しています。その内の一つが「筋肉の種類」です。
人間の体の筋肉は大きく分けると
- 意識が動かす筋肉の横紋筋
- 自律神経(無意識)が動かす平滑筋
の2種類になるのですが、細かく分けると更にもう一種類の筋肉が存在します。
それが心臓の筋肉「心筋」です。
この心筋は非常に特殊な筋肉で、意識でもなく自律神経でもなく、心臓独自の判断で動いているそうです。
そしてその理由やメカニズムについては分かっていない部分が大半のようで詳細は不明。
このブログの冒頭に記載したように、役割としては心臓は「血液を送り出す」という非常にシンプルなものになりますが、なぜかこのような特殊な機能を持っている非常に謎に満ちた臓器になります。
研究がすすむにつれていずれはその理由も解明されるものと思われますが、それもまだ少し先の話になりそうです。
■心臓は筋肉痛を引き起こさない臓器です
先ほども述べたように心臓は心筋という種類の筋肉になります。
であれば一日に送り出している血液量や心拍数から考えると、
なぜ心臓は筋肉痛を起こさないのか?
という当たり前の疑問が湧いてこないでしょうか。
このブログで紹介させていただいている血液量や心拍数ははあくまで平常時における平均であり、その平均値ですらとてつもない量や回数が表されているわけですから、激しい運動を行う機会が多い人であれば当然数字はさらに激増ますし、そうなれば筋肉である心臓も筋肉痛を起こすのが普通です。
しかし「心臓が筋肉痛を起こしている」という人はただの一人もみたことがありません。
そこにはやはり筋肉痛にならない心臓だけが持つ特別な機能というものが備わっているのですが、ではその特殊な機能とはいったいどのようなものでしょうか。
■心臓は酸素を大量に溜め込むことが出来る臓器です
心臓が筋肉痛にならない理由は酸素を大量に溜め込むことが出来るから
だと考えられています。
というのも筋肉痛とは、筋肉細胞内の酸素量がが少なくなることで起きている可能性が高いからなのですが、心筋細胞は他の細胞と比べると保有できる酸素の量が段違いに多いのだそうです。
この心筋細胞が持つ「大量に酸素を保有できる」という能力は、もしも心筋が筋肉痛を起こすようなことがあればそれによって心臓の働きが低下してしまうことは明白ですし、さらにそれが生命活動に多大な影響を与えてしまうことも容易に想像できますから、そうした事態を避けるために心臓だけは絶対筋肉痛が起こらないよう与えられた特別なものだと考えられています。
筋肉痛が起きるメカニズムは、心臓が持つ特殊な機能や能力がほとんど解明されていないのと同様にほぼ分かっていませんが、酸素量と筋肉痛に関係性があることは間違いなさそうです。
■心臓の持つ特殊な能力がご理解いただけたでしょうか?
役割としては非常にシンプルですが、このように心臓には他の臓器には見られない驚異的な機能や能力が備わっています。単純に見えて非常に奥の深い臓器のようです。
普段当たり前に鼓動してくれているからなかなか気づくことは出来ませんが、こうして詳細を確認していくと心臓の凄さの一端が理解できるのではないしょうか。