「ピンチはチャンス」「災い転じて福となす」

知人の18歳になる息子さんがバイトを始めました。
その内容というのが自衛隊の敷地内の清掃業務で、日当が1万5千円でどうやら昼食付き。
これだけだと「ちょっと割の良い単なる普通のバイト」で終わるところなのですが、面白いのがその勤務地。
この間までは奄美大島で、それが終わったら次は沖縄。
更に沖縄が終わったらまたどこか別の遠くの地方施設の募集がかかるかもしれないみたいです。
そして当然勤務地までの交通費は出て宿泊所もちゃんと用意してあって、週末の休日は観光もできるようですから、言ってみればちょっとしたリゾートバイトのようなもの。
安定収入には繋がらないかもしれないし、色々なところを転々とはしますが、そういうことが苦にならない人にはすごく魅力的な内容ではないでしょうか。
知人の息子さんは姫路在住なので海といえば瀬戸内海になりますが、とくに姫路近郊の瀬戸内海は水がきれいとは言えないし、また対岸には四国や淡路島があり、広大な海を感じることは出来ません。
だけど奄美大島や沖縄となると透き通ったエメラルドグリーンの海にきれいなサンゴ礁があり、どこまで果てしなく続く広大な海を実感することができ、また本土の人たちとは違う価値観や文化・生活様式を持った方々と接することもできます。
人ってそういう新たな経験を積み重ねることで物事の考え方が柔軟になったり人間的に成長していくものだと思いますし、僕自身もその昔阿蘇山やタイに旅行に行ってから世の中あらゆることに対する価値観が変わり、それが自身の人生において良い方向へと変わるきっかけになった経験があるので、ぜひ知人の息子さんにも何か気付きのようなものを得て帰ってきてもらえたらなと思います。
ところでこの陸自の清掃バイト。
そもそもなぜわざわざ県外から募集しているのでしょうか。
どうせなら地元の人を雇えば交通費などの余計な経費が掛からなくて済むし、宿泊施設の準備とかそんなことをしなくても済みますから、どう考えてもすごく非効率なことをしているようにしか見えないのですが、これは恐らく地方の基地の場合「いくら募集をかけても人が集まらない」事が原因なのではないかと思われます。
だから県外から募集しているんじゃないでしょうか。
近年は日本の人口減やそれに伴う働き手不足、あとは若者の働く意欲の喪失が叫ばれていて、それがあらゆる業界に影響を与えていると聞きますが、これもその弊害の一つのように思えてなりません。
ですから日本のこれからの状況がどのように移り変わっていくか心配になったりもするのですが、とは言え「ピンチはチャンス」「災い転じて福となす」という言葉もあるように、色んな問題が山積しているからこそ得られるチャンスやメリットがあるのもまた事実だと思います。
今回の話で言えばその労働力不足?のお陰で、貴重な経験をお金を稼ぎながら得ることができる機会が知人の息子さんにも回ってきたわけで、これが順風な状況の世の中であったならこのような条件の仕事はそうそうなかったかもしれません。
そう考えると悪いことばかりでもないですね。
その上で「遠くへ行くのは嫌だ」とか「短期契約の仕事は嫌だ」なんて言ってたらこういう貴重な経験の機会をみすみす逃すことにもなっていたわけですから、この息子さんの前向きな姿勢もたいへん素晴らしいものだなあと感心させられます。
本人さんのちょっとした気持ち一つで見えてくるチャンスというものがあり、それを掴むこともできるわけですから、やはり人間気持ちの持ちようや物事の見方・捉え方が大事だなあ~とこのバイトの話を聞いてそう思いました。
今年は辰年ということで、年賀状やカレンダーなどを見ても龍が天に昇っていく様を描かれたものが多くみられるわけですが、そうした縁起も担ぎつつ、前向きな気持ちで色んなことにチャレンジし、何かしらのチャンスを掴める一年になれば素晴らしいことではないでしょうか。
そうした願いを込めつつ、皆様のご多幸もお祈りしながら新年のご挨拶とさせていただきます。
今年もどうぞよろしくお願いします。