厚労省が推奨する「GMP基準」について

GMP基準という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

「医薬品の製造管理および品質について定められた基準」

の事なのですが、平たく言うと薬を作る時に用いられる非常に厳しい管理基準のことになります。




薬が安全に、かつ一定の品質に保たれて作られているのはこの基準に従って製造が行われているからなのですがこの基準、なにも薬だけに適用されるものではありません。

じつはサプリメントを製造する際に採用している会社もあり、安全で良質のサプリメントを選ぶための一つの目安に厚労省が推奨している基準でもあります。



つまりこのGMP基準のマークが入っているサプリメントは、

「安全性や品質面で信用度が高いと思われますよ」

と厚労省も言っているわけです。



ではこのGMP基準に従った製造管理とは具体的にどのようなものになるのか。

知っている人はかなり少ないので、それを一部紹介しようと思います。





●まず一つ目は成分表示に記載されている通りの成分配合量が行われている

という事です。



「えっ」

「サプリメントってどの製品も、成分表示に記載された通りの種類と量が配合されてるんじゃないの?」

と思われる方もおられるかもしれません。



ですがサプリメントは区分が医薬品ではなく食品になるため、成分表示に記載されている内容はあくまで目標であって、その通りに配合する義務はないんです。

これは考え方としては、例えばトマトって同じ品種のものであっても一つ一つ栄養価は違いますし、栄養価の高いものもあれば低いものもあるわけですが、だからと言ってスーパーで販売してはいけないという事はないですよね。

だから薬ならそれは大問題になりますが、食品であれば個体差があることが前提になりますから、その考え方がサプリメントにも適用されていて、成分表示通りに成分が配合されていないからと言って何ら問題にはなりませんし、製造メーカーも成分表示通りの成分配合を重視していないことが殆どなんです。



実際あるテレビ番組で30種類ほどののサプリメントをかき集めて成分分析をかけた所、成分表示通りに配合された製品は一つもなく、それどころか表記された一部の成分が全く入っていなかったなんて製品もあったくらいです。

それくらいサプリメントの成分表示というのはあてにならないものなんです。



その点GMP基準に準拠して作られたサプリメントであればほぼ間違いなく表示通りの配合が行われているため、成分表示が購入の有無を決める判断材料として信頼していただくことが出来るというわけです。

ここはもう信頼度が全然違うんです。



●2つ目は徹底した機械の清掃が行われている

という事です




サプリメントというのは、通常「自社で製造する」ということは殆どありません。

たいていサプリメントを専門にした別会社に委託して製造してもらうのが一般的です。

それは大規模の製薬メーカーであっても同様です。



ですからその製造工場では常日頃、たくさんの種類のサプリメントが製造されているわけですが、一つの製品を作り終え、次の製品を作る際には当然機械の清掃が行われます。

ところがこの時、機械を徹底的に清掃し切れていなかったとしたらどうなるでしょうか?

機械の隙間などに別製品の成分が残っていたりしますよね。



これ薬ならやはり大問題になる話で、別の薬の成分が混ざって出来上がる薬が安全かどうかと考えれば「非常に危険性が高い」と言えるのではないでしょうか。



サプリメントの場合は薬ほどの危険性があるわけではありませんが、とは言え危険性が全くないとも言い切れませんし、また栄養成分というのは違う成分同士が触れ合うと、化学反応を起こして別の成分に変性してしまうこともあるため、いずれにしても別製品の成分がわずかでも機械に残っているというのは良くないんです。



さらに栄養成分というのは雑菌繁殖の原因にもなりかねないため、長く放置しておくのは危険です。

だからGMP基準を採用しているサプリメント製造メーカーでは徹底して機械の清掃を行っています。



一方でGMP基準を取得していない工場については、清掃の仕方について怪しいところが少なくありません。

掃除の徹底というのは意外に難しい事ですから無理もない事なのですが、だからこそ厳しい管理基準を設定したうえで取り組んでいるかどうかがとても大切で、GMP基準を取得している工場というのはその厳しい管理基準が取り入れられてるという所が大きなメリットだということです。



●3つ目はクリーンルームの設置

です。



クリーンルームとは、

空気中のホコリやチリなどの浮遊粒子が制御され、空気が一定レベルに清浄化されている部屋のこと

です。

食品であるサプリメントを製造することを思えば、可能な限り衛生的な空間で製造することが望ましいのは言ううまでもない事です。



しかしクリーンルームは建設コストが非常に高く、また維持にも多額のお金と労力を必要とします。



そのためクリーンルームを設置していないサプリメント製造工場もたくさんあるとされ、中には

「これほんとに食品を製造する工場何ですか?」

と言いたくなるほど衛生面に疑問の残る工場もあるという事を聞いたことがあります。

数は多くないかもしれませんが、そんなモラルの低い工場も中にはあるんですね。



その点GMP基準を取得している工場であればクリーンルームの設置は義務なので、環境面についても安心安全。

大変きれいな環境下で製品製造が行われています。

それだけも製品に対する信用度がまるで変ってくるというものです。

厚労省がGMP基準を製品選びの参考に推奨しているのもこうした細かい配慮がなされ、信用できる製品が作られるからに他ならないんです。





本当はすべてのメーカーが高い意識を持ち、どの製品も安全で高品質なものばかりであればそれが一番に良いのですが現実はなかなかそうもいきません。

だからこそ一つの信用できる目安が大切になるわけですが、こうして色々と確認していくと、GMP基準はその目安として「信頼性の高い判断材料になる」と言えそうです。


日本医薬品原薬工業会
GMPとは - 日本医薬品原薬工業会 医薬品原薬とはGMPとは 医薬品原薬とは メイドインジャパンの価値 原薬を取り巻く法規制 GMPとは...