栄養はチームで働くため、単独で摂っても効果は殆どありません
このことを「桶の理論」と言い、いくら桶に満タンの水を入れたとしても、たった一か所穴が開いていれば水はそこからこぼれだし、汲んでも汲んでも桶に水は満たされないというのと同様に、栄養もたった一種類不足するだけで、いくら他の栄養素が足りていたとしても、すべての栄養が足りていない状態に陥ってしまうのですが、案外そのことを知らずに偏った栄養摂取を行い、結果栄養バランスが崩れて体調まで崩れてしまうという人も珍しくありません。
近年では菜食主義者とかヴィーガンの人などがある意味良い例ですが、特定の栄養素だけを摂取し続けるのは、わずかな例外を除いて殆どの人にとって良くないんですね。
それどころか病気の基とも言えるくらいです。
そのため「栄養はバランスよく摂取しましょう」という事を言われるのですが、問題はこの「バランス」です。
どのような種類の栄養を揃えることが出来たらバランスが良いと言えるのでしょうか?
栄養学をかじってる人の間では
・糖質(炭水化物)
・脂質
・タンパク質
・ビタミン
・ミネラル
・ファイトケミカル
・食物繊維
からなる7大栄養素を満遍なく摂る
とか、
この7大栄養素の中で食事からでしか摂取できず、更には特に重要度が高いとされる
・18種類のビタミン
・20種類のミネラル
・8種類のアミノ酸(タンパク質の原材料)
の計46種類の栄養素、いわゆる「46種類の必須の栄養素」を過不足なく摂取することがバランスの良い栄養摂取だと捉えられていることが多いように思います。
これだけでも結構な種類の栄養を摂らないといけないことが分かりますね。
ですが体にとって必要であったり有益な栄養素というのは当然他にもいっぱいあって、例えば46種類の必須栄養素には入っていないものの、7大栄養素には表記されている脂質なんかも細胞膜やホルモンの原材料になるから大変重要ですし、更にはこの脂質だって細かく分類していけば誰もが知るようにオメガ3とかオメガ9、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸だのといった複数種の脂質をバランスを考えながら摂らないといけません。
ファイトケミカルだって活性酸素除去や血流改善に大変有効ですが、大別するだけでも
・ポリフェノール類
・カロテノイド類
・含硫化合物
・テルペン類
・その他
とあり、さらにこれらを細かく分類が出来るわけですから、ファイトケミカルの種類だけも何十種類もあることが分かります。
さらにさらには栄養学的には栄養と位置付けるかどうか微妙な
・水(緩衝・記憶・血流・浄化・分解・吸収)
・水素(活性酸素除去・血流改善)
・酸素(エネルギー産生・体温)
なども健康の維持増進には絶対欠かせない要素の一つになります。
他にも栄養素としては扱われていないけれどハーブに含まれる薬理作用のある成分も大変重要な成分になりますし、未発見で確認されていない栄養成分というのもまだまだあると考えられます。
そうなると、「バランスの良い栄養摂取」と一言で言ってもあまりにも種類が多すぎるうえ、未発見のものもあるために「実は解明されてません」っていうのが結論になっちゃうという、何ともスッキリしない話になってきます。
でもそれでは誰も興味を持ってくれないし理解もしづらいので、「7大栄養素」とか「46種類の必須栄養素」の話で案内している人が多いのだと思うのですが、残念ながらそう簡単な話にはなりませんね。
確かにこの二つを理解し、この二つの栄養素を満遍なく摂るだけでもかなり栄養バランスは整ってくるとは思いますが、世の中何事においても答えってそう単純じゃないし明解にできることは少ないと思います。
「バランスの良い栄養摂取」なんてのはまさにその典型例みたいなもので、とにかくいろいろ摂ってみて自分に足りない栄養素を自分で見つけていく。
超原始的なやり方ですが、これが「自分に適した栄養バランスの見つけ方」になるのではないかと個人的には考えています。
こんなスッキリしない終わり方をしてしまうと「もっと明快な答えが知りたい」なんて思われるかもしれませんが、
●唯一正しい理論
●唯一正しい正解
なんてものを探す方が絶対うまくいきませんからね。
むしろ明快な答えを示している話の方をこそ疑って欲しい。
僕はそう思います。
それをお伝えしたくて書いてみました。