「不景気」って言葉は、日本の大企業にとっては都合のいい言葉なのでは!? 随分騙されてきた気がします・・・・・

いまコストコが、時給2600円で求人募集を出している話がネット記事などをにぎわせていますね。

当然そんな高額な自給の仕事にはものすごい応募があるようで、いい人材がコストコに流れているのだとか。



地方の小売業やサービス業を営まれている人達からは

「そんな金額で求人を出されたらうちらのところに人が集まらなくなる」

「ただでさえ人手不足なのに止めてくれ」

と嘆きの声や怒りの声が上がっているそうですが、僕はこれめちゃくちゃ良いことだと思っていて、コストコ以外でもどんどんこのレベルの時給で求人を出して欲しいと思っています。




だってね。

日本の企業って労働力を搾取し過ぎですよ。






考えてみてください。





これだけテレビニュースでは「不景気・不景気」って言ってながら、

「過去最高の売り上げでした!!」

とか

「過去最高の純利益でした!!」

っていう企業もたくさんあるわけです。



「内部留保の額が凄いです」

「株主配当金がどんどん増えてます」

なんて記事もよく見かけますしね。




少なくともちゃんと儲かっている企業というのは絶対この日本の中でも存在していて、しかも決して少なくないと思うんですよね。

でも給料で社員に還元しない。




それめっちゃ卑怯だし、モラルに反していると思います。

普通に考えると絶対そうなんです。




売り上げが上がり利益が確保できているのは働いている従業員の方々のお陰なわけですから、それに見合うだけの対価は絶対に支払う必要があるんです。

経営者に良心というものがあるのであれば・・・・・・・。





だけど、

「不景気だから」

「いつ売り上げが下がるか分からないから」

というもっともらしい理由(うそ)で、給料上げないところが多いです。



残業代を払わないところもあるし、下請け業者に対しても値段を叩きまくる話もよく聞きますよね。

「元受けだったり発注をかける側だけが利益を確保できればいい」

と、他社や従業員の事なんか知ったこっちゃないという考えの企業が少なくないってことなんでしょうね。

ちくしょう( `ー´)ノ



バブル崩壊以降。

僕は

「不景気」という大義名分が、立場の強い一部の企業によって都合よく利用されている

ような気がしてなりません。




僕も会社員をやってた時は毎月80時間の残業代を支払ってもらえず、3年間は3人分の仕事をさせられていました。

辞めた後に僕の代わりが3人入って、ようやく納期に間に合う(僕と同じ仕事量ができる)ようになったという話を後から聞きましたからね。



1人あたりの年収を500万と仮定すれば、3人分の仕事を1人で3年間やったわけですから、その3年間で会社に与えた利益は3000万。

さらにカットされた残業代も含めれば、3年間で3500万くらいは僕1人で会社を儲けさせたことになります。




でもその見返りはというと、

罵声と可も不可もない給料査定。






これを労働搾取と言わずなんというのでしょうか。





僕と同じレベルの扱いを受けていた人はそう多くないと思いますが、それでもほかにも同様の人は何人かはいたでしょうし、そうやって推測していくと、僕が勤めていたかつての会社ってかなりの儲けが出ていたはずなんです。

いまだに潰れず立派に経営が成り立っていますしね。




でもニュースに流れる「不景気」という言葉に僕もうまく騙されていたため、当時は

「会社ってこんなものだ」

「給料に反映されなくてもしょうがない」

「だって会社も苦しいもんな」

「これで僕が残業代や給料を要求したら会社もきっと苦しくなるし・・・・・」

と、その酷い労働環境に何ら疑問を持つことも出来ていませんでした。

無知というか、分かってないってホント損しますね・・・・・・・トホホ (ToT)/~~~




だけどです。




時は経ってあれから15年。

個人事業主として販売業に携わるようになったからこそ強く思うようになったのですが、

人をタダでこき使うとか、労働力を搾取し過ぎるというのははっきり言って犯罪

です。




なぜって社員は労働力と時間を会社に売ることによって給料を得る契約をしているわけですからね。

なのに残業代を払わないなんていうのは、店で物を買ったにも拘らず、お金を払わない泥棒と一緒のことです。

昔なら昇給やボーナスで還元することによって帳尻合わせが行われていましたが、今は全くと言っていいほどそんなことしてもらえませんしね。



そういった明らかに理不尽なことを社会的責任が大きいはずのそこそこの規模の企業ですら平然とやってる所があったりするわけですから、そろそろ労働者側もちゃんと権利を主張して戦っていかなきゃいけないと思います。

企業側の勝手な論理をいつまでも続けさせていてはいけませんね。





そんな中でのコストコの時給2600円です。




僕はコストコを決していい会社などとは思ってはいませんが、でも日本のあまりにせこくモラルのかけらもない社員待遇に対して大きな一石を投じてくれた一例になったと思います。

なにせ日本のバイトの平均時給からすれば倍以上の時給ですから。



毎年契約更新があるとか、不景気になったらすぐに首を切られるといった外資系ならではの厳しい契約条件はあるかもしれませんが、この時給なら応募する側もそうした条件を理解したうえで常に契約を更新してもらえるよう頑張って働こうとするでしょうし、簡単に辞めるような人もいないでしょう。

それなら企業側としてもいい人材を安定して確保し続けられることに繋がりメリットが大きいですし、働く側としても短い時間でもそれなりの給料がもらえるから、体は楽になるし生活も安定しやすくなって互いに良いことづくめです。




朝の8時から12時まで働くだけで1万円もらえるなんて、子育て中のお母さん方なんて夢のような職業じゃないでしょうか。

政府がやってる子育て支援策より、外資系企業であるコストコの高時給の方がはるかに有効策であるというのが何とも皮肉な話です。





残念ながらこうした高時給のあおりを受けてもろに経営に影響が出るのが、収益の低い末端の小売業や個人事業主といった小さな企業さんになってしまいます。

大抵のところは安い給料しか出せませんからね。



そうなると従業員を確保するのが難しくなりますし、だからといって給料を上げようとすると今度は経営が苦しくなります。

だから「そんな高い時給を提示して人集めをするのは止めてくれ」とクレームが出てくるわけで、実は安易に高時給の求人募集を喜んでいいかというとそうでもない部分もあるんです。



売り上げの小さな企業にとっては死活問題なんですよね。



反対に収益の大きい企業は影響が少なく、なぜなら大きい企業ほど一般的には他の小さな企業に比べれば給料は高く福利厚生制度もしっかりしている傾向にありますから、いくら高時給の会社が出てきたとしてもその影響は売り上げの小さな企業に比べれば非常に小さなもので済んでしまいます。

結局いつの時代も真っ先に犠牲になるのは小さくて力の弱い立場の者ということなんですよね。



それがとても悔しいところでもあるのですが、でもだからと言っていつまでも安すぎる賃金を社会全体が許容していては、労働者は永遠に搾取され続ける循環から抜け出すことが出来ません。



小売業やサービス業、個人事業主といった売り上げが小さく力の弱い企業主さんも、最初はこうした高額時給で人を雇う大企業の出現によって様々な問題が発生し、経営が苦しくなることもあると思いますが、

でもその先に、正当な給料・正当な仕事の依頼料を払うようになる元受け企業が増えていく可能性がある

事を認識して、苦しくてもこの流れを促進する側に回っていくことが大事なのではないかと思います。



「そんなの理想論で現実的じゃない」

「そんないい流れになる前に会社が潰れたら意味がないだろう」

と反対される方もおられると思いますが、でもしょうがないですよね。

このままだといずれ大企業以外の大半の企業は淘汰されていく流れになっていますから、それを避けたかったらどこで大きく舵を切れるかです。

その選択を迫られるのが早いか遅いかの違いだけなんじゃないでしょうか。




少なくともコストコが時給2600円を提示したことは事実ですから、今がその舵を切るための良いタイミングではないかと僕は思います。

だからこうした高額自給の企業の登場を喜んでいるわけで、今後少しずつ、日本企業の雇用のあり方にも影響を与えていくことになるのではないでしょうか。



あとはその影響が、一般労働者や力の弱い企業にとって良い方向に向かうことを祈るばかりです。