「謙虚でいることの大切さ」を教えていただいたお話を紹介します

真冬の高野山。

それも深夜になった所で、とあるお寺の駐車場に一台の車が停まりました。



宿泊施設などは近くになく、また仮にあったとしてもチェックインできるような時間でもなく、でも外は道も凍り付くほどの氷点下を記録する厳しい寒さ。

案の定エンジンをかけたまま車の中で一晩明かしそうな様子が伺え始めた時、偶然にもお寺の住職さんがそれに気付かれたそうです。



そして

「こんな冷え込みの厳しい真冬の高野山で車中泊などしていては疲れも取れないだろうし、万が一ガス欠などでエンジンが止まってしまっては命を落とすことにもなりかねない」

と心配になった住職さんはお寺に宿泊されるよう運転手に声をかけられました。



大変ありがたいお申し出にとても喜ばれ、お言葉に甘えてお寺の中で暖をとりながらゆっくり休むことが出来たその運転手さん。

翌朝お礼も兼ねながら住職さんと会話する中で分かったのが、その方なんとトヨタ自動車の重役の方だったそうで、それも予定外のことで車中泊をしようとしたのではなく、お寺に参拝することが目的なのだから、

「贅沢を控えて節約のために車の中で一夜を明かそう」

と決めて来られていたとのこと。



あのトヨタの重役を務めるているような方であっても派手さが全くなく、それどころか質素倹約を自ら進んで行われているその姿に、住職さんも大変驚かれたようです。

大企業の偉いさんともなればいつ何時でも豪華な生活をおくられているとつい思いがちですが、世界最高の自動車メーカーの重役の方ともなればやはり常日頃から自らを律しておられる様子が伺えます。



それはご自身の部下にあたる方々への想いや配慮からも伺い知ることが出来るのですが、

というのもその方が直接的に関係しそうな部下にあたる方だけでもおよそ1000人くらいはおられるということですが、その一人一人の顔と名前を覚えておいて、廊下ですれ違う際などにはきちんと名前を呼びながら声をかけられるそうです。



これ一見簡単なようで実はとても難しいことのように思うのですが、なぜそのようなことをされるのかというと

「そうした多くの部下の皆さんの支えの上に自分自身が立たせて頂いているから」

という意識があるからだそうで、「お陰」という気持ちをとても大切にされていることがこのお話からもよく伝わってきます。

ほんの些細なことかもしれませんが、声をかけられた方々も、その重役の方の気持ちが見えてくる部分があって嬉しくなるのではないでしょうか。



「企業は人なり」



という言葉があるように、働く人の人格や姿勢によってその企業の業績や企業の健全性などが大きく変わってくるという風に言われています。




ここ数年、トヨタは世界最高の自動車メーカーとしてあらゆる面において優れた業績を出し続けていますが、それもこうした重役クラスの方々ほど率先して自らを律し、人を大事にしようとしているからに他ならないのかもしれません。

どんなに物事がうまく進んでも決して奢らず、偉そぶらず、派手になりすぎず、お陰の気持ちを持ち続けながら自らを律することの大切さを教えられた気がします。



ー日々是好日とはー
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