なぜ精神的ストレスが体に悪いのでしょうか。
体にどのように作用し、どのように悪影響を及ぼすか、具体的に知っている人はどのくらいおられるでしょうか。
精神的ストレスは、厳密に言えば「嬉しい」「楽しい」といった良い感情のことも含まれているわけですが、ここでは
●怒りやイライラからくる興奮
●恐怖や緊張からくる不安感
といったマイナスの感情から発生してしまう精神的ストレスの体への悪影響について解説していきます。
健全な思考や健康的な体を維持するためにとても役立ちますので、少し理屈を知っておいてください。
早速ですが、負の精神的ストレスを感じることによって引き起こされる問題とは何かというと、それは血がドロドロになるということなんです。
これは負の精神的ストレスを受けると、フィブリンという血を固めるタンパク質の血中濃度が上昇するという体の仕組みによって引き起こされる現象になります。
なぜこのような仕組みが体に備わっているのか。
一見意味不明に見えるかもしれませんが、これ結構納得の理由があって、そもそも怒り・イライラ・恐怖や緊張からくる不安感といったこうした感情が湧き起こる状況ってどんな時かと考えると、
一言で言うと
争いが起きる可能性がある・或いは身に危険が迫っている時
なんですよね。
もっと端的に言うと、
怪我をして血を流す可能性がある時
にそうした感情が起こりやすいわけですが、
それはつまり
仮にほんとに出血するようなことがあっても直ぐに止血が行えるよう、予め準備しておく必要性が発生している
という事でもあり、だから負の精神的ストレスを感じるとフィブリンの血中濃度を高める仕組みが体に備えられているということです。
この機能は、一説によると人間がまだ狩猟民族だった時代に備わった機能ではないかとも言われています。狩りに行くという事は、動物の抵抗にあって自分たちも傷付く可能性があるという事ですからね。
なのでもしかしたらこの仕組みのおかげで怪我をしても直ぐに血を止めることが出来たことによって命を救われた人もたくさんいたのかもしれません。
「これは要らない」なんて機能は人間の体にはないということでしょうか。
とはいえこうした機能には体にとって危険を伴う作用も同時に発生していて、理屈を知って日頃から注意しておくべき必要もあります。
具体的にどのような事かというと、冒頭にも書いたようにフィブリンの血中濃度が上がれば出血を止めやすくなるメリットが生まれる反面、血がドロドロになって血流が悪くなるという問題が発生します。
そうなると、体は血流を元に戻そうとして血圧を上げることでその問題を解決しようとするわけですが、
血圧を上げるという事は血管と心臓に大きな負担がかかるという事でもあります。
それが一時的なものならそうそう問題にはならないのですが、
●常日頃ちょっとしたことですぐ怒る人、
●人間関係で悩み続けている人
●仕事が忙し過ぎて精神が全く休まらない人
などは心臓や血管に常に負担がかかり続けるために、それが限界を超えるとある日突然脳梗塞になるとか、心臓が止まるとかいった事が起こってしまいます。
そういう事例を稀に聞くこともありますよね。
ちなみに僕自身は毎月100時間以上の残業が当たり前に続き、最大で170時間ほどの残業を行っていた時はそのストレスから血がドロドロだったことが予想され、たぶん心臓に相当な負担がかかっていました。
いつも胸が苦しく、血圧を上げる力さえ残っていなかったので上が100以下、下も30前後みたいな状態が当たり前でしたからね。
あのまま働き続けていたらいつか心臓が止まっていたと思いますし、今も心臓は弱いままです。
完全な状態には戻りそうもありません。
テレビなどでもたまーに過労死された方のニュースを見たりしますが、きっととてつもない精神的ストレスから、過度な負担が心臓にかかってたんだろうなと思ったりします。
決して他人事に思えるようなことではないので、そういう話を見聞きすると昔の自分の境遇とついつい重ねてしまいます。
僕はたまたま心臓の方に来るタイプでしたが、血管の方に負担がきやすいタイプであればそれはそれで今以上に大変なことになっていたかもしれません。
実際に心臓が弱るところまで行ってしまったからこそ、負の精神的ストレスの本当の怖さを感じます。
またこの記事を書いている最中に、たまたま現職の介護職員さんとこの記事の内容について話をしていたところ、
お堅い仕事をしていた人ほど認知症になりやすく、元学校の先生なんかが発症しやすいみたいですよ
と教えていただいたのですが、これも負の精神的ストレスや血のドロドロが関係している可能性が高く、
というのもお堅い仕事をしている人ほど、自分の意見を押し殺して負の精神的ストレスを抱えやすい環境にあることが考えられます。
変に真面目ぶらないといけませんからね。
理不尽だったり矛盾を感じることも多いでしょうし・・・・・・。
ですがそうなると、お堅い仕事をしている人ほど日頃から血がドロドロな状態で生活を送っている可能性が高くなるわけですが、血がドロドロになるという事は、心臓や血管に負担がかかる以外にももう一つ、体の中で最も高い位置にある臓器「脳」に血が届きにくくなるという問題が発生します。
そして血は(厳密には赤血球)酸素や栄養素を運ぶ役割があるわけですが、脳も酸素や栄養素があるからこそ正常に機能出来るわけで、仮にドロドロ血が続いて脳内の血流不足が長期化してしまうと酸素と栄養素の慢性的な不足により脳機能が徐々に低下していくため、高齢になるにつれて認知症を発症する可能性が高くなることは言うまでもありません。
精神的ストレスの多い日本社会の中で認知症の方が年々増え続けているのもこのように考えてみると当然のことなんですよね。
心臓や血管に不具合が出るほど過度でなくても、何となくじわじわやられてしまう精神的ストレスも、長期間続いてしまうと非常に危険で問題だということではないでしょうか。
日本人は精神的ストレスを甘く見過ぎている人が多いように個人的には感じているのですが、体の仕組みやそのストレスによって引き起こされる体の不具合を理解していくと、そうした捉え方に間違いがあることに気付くことが出来ると思います。
生きている限り負の精神的ストレスをを完全に避けることはできませんが、程度な範囲で収まるよう、心を整え、身の回りの環境を整える努力が必要ですね。
肉体的な酷使もよくありませんが、過度な精神的負荷も決して良くはないんです。