洗濯洗剤ランドリーは1箱の価格が3100円。
(当初は3000円)
これはどう考えてもかなりの高額ですね。
スーパーやドラッグストアに行けば、粉末の洗濯洗剤なんて1箱200円ほどから売られていることを思えば、ランドリーの価格がいかに高いかよく分かります。
正直よくこの価格で会社も販売しようと思われたなと感心しますし、
また使い心地を気に入って使っていただいている方々にも、こんな高額にもかかわらず快く購入してくださり感謝の念しかありません。
幸いなことにランドリーはごく少量で済む洗剤であることと、1箱に入っている量が2㎏(一般的な粉末洗剤の2倍)もあります。
ですから単純計算で一般的な洗剤のおよそ10倍程度の量(1日1回の洗濯で約半年分の量)が入っていることになり、結果的に1箱300円の洗剤を買っていただいているのと変わりがありません。
その辺りの超大容量さを実感して
「一般的な洗剤と比べてもランドリーは高くないよ」
と言ってくださる方も多くおられます。
もし一般的な洗濯洗剤と使用量も容量も同じで、価格だけが3100円と高額であれば、いくら安全性が高いとか使用感が良いと感じていただいたとしても、きっと購入してくださる方は殆どいなかったでしょう。
そうしたことを考えると、じつに絶妙な価格と使用量の製品に仕上がっているなと感心させられます。
うまくバランスが取れているものですね。
しかし「この価格」「この量」はたまたま実現したものではありません。
そこにはソニアの高田社長と洗剤設計者である清水先生との間でかなりの調整(駆け引き?)があったそうで、
これは高田社長から直接お聞きした話ですが、
清水先生からの度々の要望があり、紆余曲折を経てソニアで洗剤を販売することが決まった際、当初の清水先生が希望される設計をそのまま採用してしまうと、使用される原材料の種類や質は現在販売されているものよりはるかに高いものになっていたそうです。
ですからもし博士の言われるがままの洗剤を商品化していれば、その販売価格はとても3100円などでは収まらずとんでもない価格になっていたことは間違いありません。
どうやら化学者・設計者というのは
●原価とか利益率とか買ってもらえる値段かどうかといったことを考慮する視点が欠けがちで
●ただただ原価無視・採算度外視で最高の製品を作りたくなってしまう習性がある
そうで、清水先生も例にもれず典型的な化学者・設計者タイプの方だったみたいですね。
ですがただでさえ3100円でも購入ハードルの高さを感じる洗剤の価格がこれ以上あがってしまうと、それがどんなに良いものであっても誰も買ってくれません。
売れないものを作っても意味がないだけならまだしも、それでは会社が潰れてしまいます。
だから高田社長と清水先生の間で擦り合わせが行われ、
●購入いただける価格に抑えれるよう原材料の種類や品質の見直しを行いつつ、
●その上で清水先生が納得できる安全性や品質も実現できないか
と検討した結果、最終的にようやく出来上がったのが現在のランドリーだったそうです。
「良いもの作りましょう」
と言うのは簡単ですが、品質と価格の折り合いをうまくつけるのは素人が思う以上に難しいようですね。
ところで
「品質と価格の折り合いが大事なのはわかったけど、でもなんだかんだ言っても原材料のクオリティーは下げたんだよね」
「それはどうなの?」
と疑問に思われる方もおられるかもしれません。
このことに関しては高田社長からいただいた言葉が僕にはすごく印象的で
そもそも世の中に完璧なものってないんだよ。
完璧なものを作ろうとしたら原価がいくらでも青天井でかかっちゃうからね。
そんなの誰も買えないから意味がないでしょう。
だからベストを目指そうとするといろんなところで矛盾する部分がどうしても出てくるんだ。
だったらベターで良いと思わない?
僕はベターな製品を120%の努力と誠意で作り上げ、皆さんに喜んでもらえるよう努めることが自分に課せられた仕事だと思ってるからね。
うちの製品はどれも完璧ではないけど、でもどこにも負けないくらいの内容には仕上げてるつもりだから、それじゃダメかな。
とおっしゃられていて、完璧であることよりも高次元でバランスよくまとめていくことの大切さを教えていただきました。
そういう考え方を聞いてしまうと、確かにベストなモノづくりを行うより、ベターなモノづくりを行うことの方が結果的に消費者にとって役立つものができるように思います。
僕は凄く納得できる考え方だったのですが如何でしょうか。
このような背景から、ランドリーは完璧な製品ではありません。
開封してから長く置いているとどうしても洗剤が固まってしまうこともありますし、真冬の零度を下回るような日であれば、もしかしたら溶け残りが発生することもあるかもしれません。
ですがたいていの場合においてはそうした不具合が発生しないよう考えて作られていますし、安全性や洗浄力においても物足りなさを感じられることは恐らく少ないように思います。
ランドリーはベストではないかもしれませんが、ベターの美学を追求して作られた良質の洗剤です。