
人間の体はおよそ40兆個もの細胞、約26兆個の赤血球、そして100兆個とも言われる腸内細菌など、多種多様の非常に小さな生命体によって構成されています。
そしてそれらは単独で勝手に動いているわけではありません。
人間同士が「言葉」を使って意思疎通をしているように体の中でも常に膨大な情報伝達が行われていて、そのやり取りによって私たちは呼吸をし、考え、動き、生命活動を維持することができています。
ではその体内言語とは何なのかと言えば、それが神経伝達物質でありホルモンです。
たとえば「休め」「眠れ」「修復しろ」「免疫を働かせろ」など体内では絶えず命令や情報交換が行われていますが、それこそが神経伝達物質やホルモンが指示していることですし、喜び・安心・不安・恐怖といった感情も、同じくそれらの働きによって生み出されています。
つまり私たちの体は心身両面において「巨大な情報ネットワークによって動いている」と言っても過言ではないわけです。
ところが今、その情報ネットワークが大きく乱されている可能性があることはご存じでしょうか。
その原因の一つとして特に問題視されているのが「環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)」です。
これは神経伝達物質やホルモンの働きを狂わせたり誤作動を起こさせたりする可能性が指摘されている物質群のことで、たとえば一部の農薬、プラスチック製品由来の化学物質、薬剤成分、合成化学物質などが代表例として知られています。
さらに人によっては洗濯洗剤・柔軟剤・食品添加物などに含まれる成分についても「体への影響が懸念される」という声を上げています。
もちろん現時点ではすべての不調との因果関係が完全に証明されているわけではありません。
しかし少なくとも「体内の情報伝達に深刻な悪影響を与える可能性がある物質が身の回りに大量に存在している」ということ自体は、多くの研究者が警鐘を鳴らしている部分でもあります。
実際1970年代頃にはすでに母乳から農薬成分が検出されたという報告も存在しているようですし、それと併せるかのように時代を追うごとにアレルギー・自己免疫系の問題・子どもの発達に関する課題などが増えてきているのは事実です。
更に前述のように神経伝達物質やホルモンは「心」そのものを構築している物質でもありますから、そうしたことを踏まえながら「なぜこれほどまでに心の病を抱える人が急増しているのか?」ということも考えていけば、その背景に「体内ネットワークの乱れ」が関係していると考えることは決して間違った発想ではないように思います。
もちろん原因は一つではなく食生活の変化、睡眠不足、ストレス、運動不足、腸内環境の乱れなど、他にもさまざまな要因が複雑に絡み合っているであろうことは間違いありません。
ただその中の一つとして「体内の情報伝達を乱す物質の増加」が関係している可能性については特に真剣に考えるべきだと個人的には思っています。
だからこそ大切になってくるのが
「なるべく不要なものを体に入れすぎないこと」
そしてもう一つは
「排せつや代謝機能を正常に働かせる知恵や生活習慣を身に付けること」
です。
なぜなら現代社会では環境ホルモン様物質や化学物質を完全に避けて生活することは、もはや現実的に不可能だからです。
だからこそ重要なのはゼロにすることではなく
「正しく知り、正しく減らし、正しく対処すること」
です。
体の中では今日も膨大な情報伝達が行われています。
その会話をなるべく混乱させない環境を整えてあげることが、これからの時代を健康に生きるうえで最も必要とされることではないでしょうか。