
近年、日本人の平均体温が年々低下しているという統計があります。
筋力の低下や糖質の摂り過ぎによる血流悪化などいくつかの要因が考えられますが、最近特に注目されているのが「きれいすぎる生活」です。
確かに衛生的な環境が整ったおかげで、かつて猛威をふるった赤痢・コレラ・結核・寄生虫感染など、多くの病気は大幅に減りました。
これは大きな恩恵であり、私たちの寿命延伸にもつながっています。
しかしその一方で行き過ぎた除菌や抗菌習慣は、体の免疫系を働かせる機会を減らしてしまいます。
免疫は外部からの微生物や刺激にさらされることで鍛えられますが、その必要性が減ると体は“省エネモード”になり、発熱や代謝を抑える傾向があると考えられています。
じつはここが非常に問題な部分で、なぜなら体温が1℃下がると
●基礎代謝は約12%
●酵素の働きは約50%
●免疫力はおよそ30%
低下すると言われているからです。
そして50年前と比べると現代日本人の平均体温は約0.4℃下がっている問いデータがあるそうですから、そこから計算すれば現代日本人は50年前の方々に比べて
■基礎代謝が4.8%
■酵素の働きが20%
■免疫力が12%
下がっている事が想定されます。
体温低下に伴って代謝や免疫が下がれば、風邪やインフルエンザ、アレルギー疾患(花粉症・アトピー性皮膚炎)、自己免疫疾患、さらにはうつ症状やがんのリスクも高まります。
また「冷え」は血流悪化を招く要因であり、それに伴い肩こり・腰痛・生理痛・不妊などの不調にも直結してきます。
つまり清潔であることは間違いなく良いことですが、それも行き過ぎると思いもよらぬ健康リスクを招く可能性がでてくるということです。
そしてそれがもしかしたら現代日本人の様々な不調の原因の一旦になっているかもしれない事が、こうしたデータからみてとることが出来ます。
ですからやはり何事も「程度もの」ということが大事であって、「これが絶対に正しい」と盲目的にならないよう気を付けたいものですし、一見正しいと思われることでもこうして角度を変えて検証していくことが、健康を守るために必要なことではないかなあと思います。
それにしても清潔すぎることが体温低下を招いているかもしれないというのは本当に意外な話でした。
決して不衛生にした方が良いということではありませんが、除菌や抗菌も本当にほどほどにしておかないといけませんね。