「タイムレスティンバー」
をご存知でしょうか?
直訳すると「時を超越した木材」という意味で、およそ200年以上前にアメリカの五大湖に沈んでしまった丸太木材の事をこう呼んでいます。
アメリカが大規模開拓されていたフロンティア時代に伐採したものを船を使って運搬していたようですが、その際に何万本もの木材が五大湖に落ちて沈んでしまったいうことです。
トレジャーハンターが見つけた最高品質の木材
そのタイムレスティンバーを見つけたのがとあるトレジャーハンターで、発見当初は「何の価値もないただの木材」と見られていました。
だから「その木材を引き上げる」というと、誰もが「引き上げに莫大なお金がかかるだけだから何と無駄で損なことをするんだ」と馬鹿にされたそうです。
しかし引き上げられた木材を切断し、その品質を確かめてみると不純物がなく、これ以上ないくらいの最高品質の木材であることがわかったそうです。
これは、
・湖の底が低温であった
・温度変化が殆どなかった
・バクテリアが不純物を分解していた
という、木材を保管する環境として最適な状態であったことが理由だったということです。
高級家具や高級ギター材などに使用され、今では高額で取引されています
高品質である事が確認されたこのタイムレスティンバーは、発見者のトレジャーハンターが会社を興すことによって安定的に引き上げられるようになり、それを乾燥させることで様々な用途に使用されるようになって、現在では高級木材として広く流通されるようになりました。
僕はまったく弾くとはできないけどギターがすごく好きで、ギターの材料などについても雑誌などでチェックしているうちに、このタイムレスティンバーを知るようになりました。
10年近く前には有名なロックギタリストcharや、世界遺産のテーマソングの作曲・松田聖子のプロデュースなどで知られる鳥山雄二氏などがこのタイムレスティンバーを使ったギターを使うようになり、日本のプロギタリストの間でも大流行。
恐れ多くも僕もその影響でcharが使用していたアコースティックギター(確か40万円くらいしたと思います)を買ってしまった事があります。
いまでは大変良い思い出で、そのアコースティックギターの見た目はもちろん、音色も感激するくらいの綺麗さでした。
「手放さなきゃ良かったかな」と若干後悔したりもしています。
木材価格が高騰し続けている今では、僕が知った20年前よりもその価値ははるかに上がっているでしょうね。
タイムレスティンバーを発見したトレジャーハンターが、もし周囲の「そんな木に価値はない」という声に従って放置していたら、この素晴らしい木が世に出ることはなく、今も五大湖の底で価値の無いただの廃材として眠っているだけになっていました。
ですが見る目があったのか、それともただ考えもなく何でも鑑定に出したかっただけなのかは定かではありませんが、念のため価値を確認したことによってとてつもない価値を世の中に生み出すことに繋がっていきました。
こうした話を聞くと、価値あるものって全然知らないところにあるのではなく、実は結構身近にあるものなのかもしれないなと思ってしまいます。
意外ともう目の前にあって、それに気付いていないだけなのかもしれませんね。
余談ですが、今はもっとすごい木材が見つかっているそうです
僕が知っているのはタイムレスティンバーですが、最近はさらにその上をいくアクアティンバーという木材が発見されているそうです。
そちらはなんと1000年以上も前のビンテージウッドで、品質もタイムレスティンバーよりも良いと言われているようです。
1000年も前の木材を使った家具やギターというとなにかロマンを感じますね。