僕が住む地元のたつの市には超こだわりの肉屋さんがあります。
どうこだわっているかというと、一番すごいのが「肉をショーケースに入れていない」ってところです。
肉屋なら「肉をショーケースに入れてお客さんに見てもらい、それで買っていただく」というのが普通ですが、このお肉屋さんは「肉をショーケースに入れるだけで肉が酸化して鮮度が落ちるから、うちはショーケースの中には肉は入れないんです」「全部冷蔵庫の中で真空状態で保管してます」と、実物を見ることができません。
変わってると言えば相当変わっていると思いますが、でもそれだけ鮮度や酸化に気を付けられていますし、味にも徹底的にこだわられているお店です。
だから実際そのお店で買う肉は牛肉はもちろん鳥や豚も超美味しいです。
高いけど(^_^;)
で、そんなお店ですから当然肉の産地・育てられ方・餌なども細かくチェックして、本当に良質の肉質の物だけを仕入れられてるわけですが、だからこそその店主が言われるのが「証明の重要性」で、
「肉って狂牛病があったり鳥インフルエンザがあったりしますし、ホルモン剤などが入れられた健康上?マークがつくような餌で育てられた牛・豚・鶏なども確かにたくさんいます」
「だから肉は安全性が低いと思われている人って結構多いんですよね」
「ところが魚介類の場合、養殖なら肉と同様に考えられる方が多いですが、天然物になると何故か肉より天然物の魚介類の方がはるかに安全だと思い込んでおられる方が多いのですが、それはとんでもない間違いです」
「だって、どこでどう育ってきたのかわからないでしょう」
- 餌は安全なものを食べてきたのか?
- 汚染されていない海域で育ってきたのか?
- 寄生虫はいないか?
- 感染症にはかかっていないか?
- 奇形などはないか?
「というチェックって、天然物じゃ出来ないですよね。」
「今は海の中も色んな汚染物質が混ざっていて、決してきれいな環境とは言えませんからね」
「育ち方が見えない天然の魚介類は、育ち方がはっきり見える牛・豚・鶏にくらべればはるかに安全性において信用できないんです」
「でも一般の方って天然という言葉のイメージだけで安全だと思い込んでしまってます」
「そういう思い込みが一番怖いんじゃないですかね」
「物事って健全な視点で見ようとする意識がすごく大事ですね」
とこんなお話をしてくださいました。
いやはや仰る通りですね。
証明がきちんとできるものとできないものとでは、冷静に考えれば証明ができるものの方が安全性も信頼性も高いはず。
でも「天然」という言葉が使われるだけで、そうした当たり前の基準で物事を判断することがなぜかぶっ飛んじゃって、「天然=安全」と無条件に思い込んでしまうのはなんでなんでしょうね。
それで思い出したけど、昔「自然界の毒にくらべれば農薬なんて超安全だ」と主張されている方の記事を読んだことがあります。
「自然界にある毒には制限や上限がなく、例えばトリカブトなんてほんの僅かに摂取するだけで死んでしまうけど、それ比べれば農薬なんて使用上限が決められているのだから、農薬がかかった作物を食べたからと言って死ぬことなんてまずあり得ない」
「自然の物は安全で農薬がかかっているものは危険だなどという人があまりにも多いけど、よくよく考えたら全然そんなことはないんだよ」
なんてことを書かれてました。
たしかにこれも一部納得させられる部分があるお話ではないでしょうか。
「農薬の方がはるかに安全」というのも少し言い過ぎではあると思いますが、「自然界の物なら何でも安全」というのもこれまた思い込みであり間違った認識であることがよく分ります。
前述の
「肉より天然魚の方が安全」
というのも同じ話で、実際は全然そんなことないってことです。
イメージではなく、事実や根拠に基づいた物事の捉え方を行うことがとても大切であることを、こうしたお話から学ばさせていただけますね。
知らず知らずの内に思い込みの世界に捉われないよう気を付けたいものです。